1972年の三重県安乗の海女仕事で使われるスカリと磯道具を史料にもとづき再構成したOCSビジュアル

海女は何を採る?|アワビ・サザエ・ウニ・ナマコ・海藻と季節

OCS KNOWLEDGE NODE 07 / CATCH + SEASON

海女は何を採る?

海女漁の代表はアワビですが、それだけではありません。サザエ、トコブシ、ウニ、ナマコ、イセエビ、アラメ、ヒジキ、テングサなど、季節と漁場に合わせて対象は変わります。ここでは「何を採るか」を、海の一年と仕事の仕組みとして見ます。

1972年安乗の海女仕事で使われるスカリと磯道具を史料にもとづき再構成したOCSビジュアル

10-SECOND ANSWER

アワビだけではない。季節ごとに、海底の仕事が変わる。

鳥羽・志摩の海女漁では、アワビを中心に、サザエ、トコブシ、イワガキ、イセエビ、ウニ、ナマコ、アラメ、ヒジキ、テングサなどが採られてきました。鳥羽市の教育資料では、春は海藻、夏はアワビ、冬はサザエやナマコが代表的と整理されています。ただし実際の漁期・口開け・採捕対象は地区ごとに異なります。

WHAT THEY HARVEST

海女の代表的な獲物。

ROCK / 岩礁アワビ海女漁を象徴する重要な獲物。岩の裏、亀裂、海藻の下などを探し、磯ノミで外す。
ROCK SURFACEサザエ岩場や海藻周辺で採る代表的な貝。夏磯・冬磯の双方で対象になる地域もある。
SMALL SHELLFISHトコブシアワビに近い岩礁性の貝。地域・時期によって採捕対象になる。
SEASONALウニアカウニ、クロウニなど。旬や解禁時期に合わせて採られる。
WINTERナマコ冬の代表的な対象の一つ。安乗の聞き取りでも冬磯の主要対象として語られる。
ADVANCED / LOCALイセエビ・イワガキ地区や熟練度、漁期によって対象になる。和具ではイセエビ漁に人数や経験の条件があったという聞き取りも残る。
SEAWEEDアラメ・ヒジキ・テングサ海女の仕事は貝だけではない。春から夏にかけて海藻採取も重要な仕事になる。

SEASON / 海の一年

「何を採るか」は、季節で変わる。

季節 代表的な対象 見方
ワカメ、ヒジキなど海藻類 海藻の成長と口開けに合わせる。
アワビ、サザエ、トコブシ、ウニなど 岩礁・藻場の探索が中心。
地区によってイセエビなど 経験・人数・地区ルールの影響が大きい。
サザエ、ナマコなど 水温・海況に加え、冬磯の地域ルールに従う。

これは鳥羽・志摩全体を理解するための大きな目安です。実際の解禁日、漁期、採捕できる日数・時間・大きさは地区ごとに異なります。

ANORI / LOCAL PATTERN

安乗では「夏磯」と「冬磯」が見える。

三重県の海女習俗調査で、志摩市阿児町安乗の海女は、夏磯ではアワビとサザエ、冬磯では主にサザエとナマコと答えています。アワビやサザエは海藻の下にいるとも語られています。

ここがOCSのANORI WORLDと相性がいいところです。同じ海女でも、季節が変われば探す対象、海底の見方、道具の使い方、身体にかかる寒さまで変わる。つまり「安乗の一年」そのものをWORLD化できます。

WHERE / 漁場

獲物ごとに、見る場所が違う。

海女はただ海底を広く探すわけではありません。サザエは岩の上や海藻周辺、アワビは岩の隙間・亀裂・裏側、海藻の下など、対象ごとに「いそうな場所」が違います。こうした漁場知識は、自分で潜る経験と、先輩海女から教わるアジロ(漁場)の知識によって蓄積されます。

だから熟練とは、長く息を止めることだけではない。短い潜水時間の中で、地形・海藻・水温・季節から「どこを見るか」を判断する能力でもあります。

CATCH → TOOL

獲物が変われば、手の仕事も変わる。

アワビのように岩へ強く付着するものには磯ノミ・カギノミが必要です。採ったものはスカリへ入れ、海面へ戻ります。海藻類では貝を外すのとは違う動作になります。海女の道具は「何を採るか」と切り離せません。

海女の道具を見る →

RESOURCE MANAGEMENT

「採れるものを全部採る」仕事ではない。

鳥羽・志摩では、口開け、漁期、一日の回数や時間、採ってよい大きさ、漁場などを地区ごとに決め、採りすぎを抑えてきました。素潜りという身体的な制約に加えて、共同体のルールが資源管理の仕組みになっています。海女漁を見るとき、獲物だけでなく「採らない日」「採らない大きさ」「入らない漁場」も仕事の一部です。

FAQ

よくある疑問

海女はアワビだけを採るのですか?

いいえ。サザエ、トコブシ、ウニ、ナマコ、イセエビ、イワガキ、アラメ、ヒジキ、テングサなど、地域と季節に応じて多様な対象があります。

海女は魚も獲りますか?

鳥羽・志摩の海女漁の中心は、岩礁・藻場で採る貝類・棘皮動物・海藻類です。一般的な魚を追って捕る漁とは仕事の構造が異なります。

一年中アワビを採れますか?

いいえ。漁期・口開け・採捕日数は地区ごとに決められています。鳥羽市資料では夏の代表的な対象としてアワビが挙げられます。

獲物の場所はどうやって覚える?

自分の潜水経験に加え、先輩海女からアジロや海底地形の見方を学びます。漁場知識そのものが世代を越えて継承される技術です。

SOURCES

主な参照資料

NEXT NODE

同じ獲物でも、潜り方は一つではない。

次は「徒人と船人の違い」。岸から自力で入る海女と、船・トマエ・命綱を使う海女では、漁場の深さも身体の使い方も変わる。

徒人・船人・ノリアイの違いを見る →

AMA KNOWLEDGE MAP / 01–20

海女を、別の入口から辿る。

01 海女とは?02 歴史03 道具04 服装05 潜り方06 潜水時間07 採るもの08 徒人・船人・ノリアイ09 安乗の海女10 ウェットスーツ11 海女小屋12 磯メガネ13 磯笛14 カギノミ15 白い磯着16 仕事着20年17 船・港20年18 道具20年19 海女小屋20年20 身体・世代20年

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